ぶらり旅日記
謎のシンガポールワイルド探検編
今回は、謎のシンガポールワイルドを探した旅のレポートです。

そもそも、今回の海外旅行では、英語を代わりに話してくれるNaomiさんがいるので、どうせファームを見学に行くならば空いた時間に、シンガポールの密放流の状況を調べたいということで、いろいろとNaomiさんに無理を聞いていただきました。

当初の目的はシンガポール国内の川に密放流されて帰化してしまった熱帯魚の状況がどんなものか?
また、水族館などを訪ね、学芸員とか、アクアリウムに携わる人たちの国内の密放流についての意見を聞いてみたいというのを、旅の1ヶ月以上前からNaomiさんに調べていただくようにお願いしていたのですが、なかなか思わしい返事が返ってこなかったのです。

これは、実際に現地に行って理解したのですが、単に私のリサーチ不足でした。

シンガポールは面積が日本の琵琶湖と同じくらいで、大きな山もなく、島の形をしている上、殆どの面積は区画整理が進み、自然の川があるような場所ではなかったのです。

国内の要所を流れているRIVERと名のつく川は、実際は運河でして、海水です。
そして雨水や生活廃水などは全て地下に埋設された下水道を流れて浄水場ニューウォーターへ流れるため、日本の古き良き風景の川遊びが出来るような場所は皆無でした。

要所要所にリザボーと呼ばれる貯水池があり、このリザボーが雨水を溜めているわけですが、広さといえば東京ドーム何個分になるのかという大きな湖となっていて、全ての湖は釣りも禁止だし水泳も禁止となっていて外来魚の調査や密放流について調べることなど出来ませんでした。

水族館にしても公的なコメントとなると、事務局での打ち合わせの後、コメントするような形で気軽に学芸員に質問して回答を貰えるようなものではないのです。

現地に入って、現実に直面した私は、密放流ネタが出来ないなとガッカリしていたのですが、DreamFishのニコラスさんが『野良アロワナならいるよ♪』と教えてくれ、案内していただくことが出来ました。

ご存知のようにシンガポールには元々野生のアジアアロワナは生息していません。
それでも、ニコラスさんたちは冗談交じりにシンガポールの野良アロワナを『シンガポール・ワイルド』と呼んでいました。

なんでも、その野良アロワナの居るリザボーは、かなり以前にシンガポール政府が、環境回帰の目的で紅龍を大量に放流した経緯があり、言い換えれば、国を挙げての密放流をしている国の水族館にパブリックコメントを求めたところで、まとも回答してくれるわけがないのですよね?(笑)

で。そのリザボーに放流された紅龍の大半は釣りや捕獲は禁止されているのに市民に密漁されてしまい、ファームに売られたりしたそうです(爆)
それ以来、政府もアホらしくなり、密放流(正確には堂々とした放流)は止めたとのことです。

しかし、その後も、このリザボーには飼い切れなくなった熱帯魚やアジアアロワナは市民に密放流されつづけ、決定的だったのは、数年前に日本でもフラワーホーンが大流行しましたが、シンガポールでも大ブレークし、綺麗な個体は高値で取引されたため、多くのマニアが一攫千金を夢見てフラワーホーンに飼育を切り替えていったため、大型水槽が必要で生餌を食べるアジアアロワナ達は再びリザボーに密放流されたとのことで、このリザボーにはさまざまな種類のアジアアロワナの交雑種が自然繁殖していて、古いものではF5になっているとのことでした。

さて。
実際にニコラスさんに案内されてリザボーに出かけてみました。

貯水池というので池を想像していましたが、湖といってよい規模であり、どこにアジアアロワナが居るのかと、まさに路頭に迷う広さだったのですが、案内されたアジアアロワナを良く見かける場所は、湖で言う入江部分(俗に言うワンド)のような場所で、向こう岸まで100mもない奥行き数100mの入江部分で良く見かけるということでした。

実際に、歩いていると『ほら!あそこにいる!』といったカンジで教えてもらうのですが、最初は緑色の池の水で判らないのですが、一度見かけると視覚が水面上から見たアジアアロワナをインプットしてくれるので比較的自分ひとりでも見つけることが出来ました。

出かけた時間は夕暮れ時で、これはいわゆる魚たちが捕食のために水面に集まってくる『夕まずめ』で、しかも、このリザボーは市民の憩いの場所になっているため仕事が終わる時間になると池の外周の歩道がジョギングコースになってしまい、人の足音などや振動によりアジアアロワナ達は警戒して隠れてしまうとのことでしたので、実際に見た時間は1時間くらいでしたが、それでも延べ20匹は目撃することが出来ました。

見つけた個体は全て金龍でした。
歩道のすぐ下の植栽された木々のオーバーハングした木陰の下を見かけるとタモ網で採れそうな近距離にアジアアロワナが泳いでいました。
恐らく木から落下する昆虫でも探しているのでしょうね?

よく見るとアロワナたちの泳ぎは非常にゆっくりとしていて、あまり移動しておらず、極狭い数10mの範囲でウロウロとしているようでした。

大体良く見かけるポイントは大きな木がオーバーハングして池側に倒れこんでいるような場所にシッとしていることが多かったです。

ファームのアロワナと違って警戒心が非常に強く、20m先位からアロワナを見かけて近距離で撮影したくて木々を掻き分けて近づこうとすると木の擦れる音や、人の足から伝わる地面の振動などから感知するのか、単に私がドタバタしているのか(笑)判りませんが、5m程度近づく頃には池の中心部に逃げていき、遠くからしか撮影することしか出来ませんでした。

たった一時間ですし、人工の池ではありましたが、野生のアロワナを見ることが出来、原産地の真の野生のアロワナたちもこんな生活をしているのかもしれないなと、大変勉強になりました。

ちなみに。こんな野良アロワナが居る池があるならボート出したりルアーを持っていって釣ってみたいと言う人も居るかもしれませんが、全ての池が釣りも遊泳も何もかも禁止ずくめであり、見回りのレンジャーに見つかりでもしたら、厳罰が待っていますのでくれぐれもそんな気を起こさないように。

ある池では、クロコダイルを養殖していた業者が倒産して夜逃げしてしまい、柵から大量のクロコダイルが池に脱走して帰化している池もあり、命がない池もありますので(苦笑)


2007,9,24


リザボー(貯水池)のエントランス部分。

平日でも人は多い、主に散歩やジョギングの人たち。

水深50cmくらいの浅瀬には20-30cm程度のレッドフィンバルブが群れをなして泳いでいた。

市民がパンくずなどを与えていた。
日本の池の鯉の感覚だ。


おっ! 何亀だろうか?

と思って、よーく見るとミシシッピーアカミミガメでした^^;

成体になり甲羅はメラニン化して真っ黒になり、もうミドリガメという雰囲気ではない。

彼らは世界各国でエリア拡大中。

歩道脇の木々がガサガサと揺れる。

何だろうと見ると、至近距離でタイワンザルに出くわす。

もちろん彼らも元々この国に居たのではないだろうが、とても人に慣れていて、ジョギングの人が危うく踏みそうになるくらいだ^^;

『あそこに居るぞ!』と指差すニコラスさんと、良くこの池でアロワナを見かけている知人。

絵的には判り易いように明るく補正しているが、実際には木々が濃く、暗がりでもっとうっそうとしている。

地面は深く積もった落ち葉でフカフカだ。
なのに足音でアロワナたちは私から逃げていくのです(涙)

ワンドの最奥部。
落ち葉が堆積して浅瀬になっている。

こういう場所で雨季になると、もう少し増水してアロワナの稚魚たちがウロチョロしているのを見かけることが出来るそうだ。

目撃画像。

35mmフイルム換算で300mmとそれなりの望遠だが、遠くに居るので上手く撮れない。

水面に対しての角度が悪くて偏光フィルターで水面のギラツキを除去できない。

重いレンズを手撮りしているため絞りを絞れず、どうしても解像度が出せず・・・・・と言い訳タラタラです(苦笑)。

これは比較的近くで取れた例。


ペア?  なのか、一緒に泳いでました。