ハードなお話し
活性炭のお話し
濾過の話に続きますが、水槽立ち上げ時とか、水質が悪化した際、亜硝酸や硝酸塩の吸着に活性炭を使いますよね?

私の場合はホームセンターでバーベキュー用の木炭を購入して活性炭代わりに使用しています。 理由は、もちろん安いから。

そこで、キャンプとかの木炭と市販の活性炭について纏めます。
取引のある活性炭メーカーの研究室の方に聞いた話を纏めると、

活性炭は、炭を賦活(activate)化させたものですが、炭素構造上は同類であり、ただ、賦活化により、ポーラスの数と長さが飛躍的に伸びているのが、活性炭であると言え、化学吸着は金属触媒等を活性炭に坦持させるようなオプション的な場合に可能であり、物理吸着が性能の大部分とのことです。

したがって、炭と活性炭の差は物理吸着能力の差が10〜数10倍異なる点であり、仕事の特性としては基本的に一緒とのことです。

活性炭の界面上において、その表面の流体の濃度と、活性炭のポーラス内部とは、流体の濃度が異なり、この場合、活性炭と界面上の流体中の物質の分子の間には引き合う力(ファンデルワールス力)が、発生する事で物理吸着が可能なわけですが、ポーラスの中の容量が一杯になるまでは、取り込んだものを吐き出す(脱着)ことはありません。

ただ、ポーラスの中が一杯になった場合でも、吸着は起こります。
この際、化学平衡になるため、吸着した量だけ吐き出す(脱着)とのことです。
この吸着と脱着とが同時に起こるとブレイクポイントと称して、寿命と判断するわけです。

ただ、ここからがポイントとなりますが、養魚分野における活性炭の利用は化学物質を吸着する場合と、ニュアンスが異なるそうで、活性炭の表面に微生物が活着して、生物膜を形成すると、ポーラス内が飽和状態となって、ブレイクポイントを迎えても、脱着した有機物や硝酸塩を微生物が分解し始めることで、吸着効果は延長されていき、活性炭(木炭)のライフは計算上よりも遙るかに長寿命になるとのことです。

では、ブレイクポイントを迎えた活性炭や木炭により、出てくる害というと養魚用途の場合、藻類の急発生と、硫化水素(黒色のヘドロ臭)の発生であるとのことです。
ただし、これは濾過槽内が酸素不足で嫌気反応を起こして硫酸還元菌により硫化水素が生成される場合や、硝酸塩がゼロに近いくらい低い場合、または非常に有機物濃度が高いときのみに起こるとのことで、非常に稀なケースであり、起こりうる害としては、専ら藻類の発生と言う形で現れるらしく、魚が急死するような害は、飼育原水に重金属等が含まれてない限り、殆ど問題ないとのことです。

活性炭の定期的な交換は、観賞魚用の活性炭の袋に良く書いてありますが、入れっぱなしでもブレイクポイントを迎えなければ、そのまま入れておいても良いようですね?

使い終わった木炭を天日で乾燥させてバーベキューで使うと問題が有りそうですが、これは、ポーラスに取り込んだ有機物は燃焼時に炭酸ガスCO2と水H2Oに分解されて揮発されるとのことで、硝酸塩は窒素酸化物NOxに変化するとのことで、何れの場合も、木炭の場合、吸着出来る汚れ物質の量は炭の重量で換算してたかだか数〜10%程度のものなので、大丈夫でしょう。
とのことでした。(但し、保証はしませんと言われました。・爆)
→ちなみに活性炭はグレードにより異なりますが、活性炭重量の10〜50%程度の汚れを吸着出来るとのことです。

最近は活性炭も安いものも有りますので、どちらを使うか、後は財布の中身次第ですかね?

2002,8,16追記)
活性炭は、一般的に吸着する素材として認知されていて、アクア業界でも、水質の悪化=活性炭という図式が成り立っています。
しかしながら、各メーカーに依り、活性炭でアンモニアが吸着出来ると言う説と吸着しない説と分かれていて、おまけに硝酸や亜硝酸も吸着しないという説まであり、混乱を招いています。

文献を交えた自説ですが、活性炭でのアンモニアの吸着は、ある意味○で、ある意味×なのです。 と言いますのも、アンモニアガスの吸着は活性炭の場合得意であり、排ガス処理などでプラント利用されていますが、水中で、アンモニアがアンモニウムイオンとして存在する場合、アンモニウムイオン単体ではイオン化しているため活性炭の穴(ポーラス)では、吸着する事ができません。  アンモニアは水中のpHにより、アンモニアイオンの形で存在するか、アンモニアガスの形で存在するかが決定されます。 一般的には魚を飼育するレベルのpHでは活性炭で吸着出来るアンモニアガスの形よりも、吸着不能なアンモニウムイオンの形で存在します。

では、活性炭はアンモニア吸着には役に立たないのではないか、と言う話しになりますが、実際の飼育水中の各化学物質の反応は、更に複雑であり、アンモニウムイオンは他の物質と結合して、化合物の形をとることで、実際に活性炭で吸着されますし、亜硝酸塩や硝酸塩も同様に化合物の形で吸着されます。

先人達が、水質の悪化時に昔から活性炭を使用されていたのは、やはり良いものだから、効果が有るから使用されてきたわけです。 正直な話、ある程度経験を積んだマニアにとって、活性炭無しに水質を改善する方法は身に付いているわけですし、活性炭を入れたからといって、わざわざアンモニア数値を日々計測される人もそうそう居ないので、余計、混乱を招くようです。
これには、活性炭以外の新素材のろ材を販売する際に、その新製品の良さをアピールするが為の比較対象としての活性炭の性能表現の関係で、誤解を招いている文面も有りますし、各メーカーさんの良心的、かつ、正確な情報提供に期待したいところです。