
| ハードなお話し | ||||
| ウッドチップのお話し | ||||
| 私が、皆さんと最も違うろ材を使用しているものにウッドチップがあります。 まず、皆さんに知っておいて頂きたいのは、「磯焼け」についてです。 磯焼けとは、現在、我が国の海域沿岸で広く浸透している現象で、一般的に言われているのは森林伐採により、雨が降ることで、河川により多くの土砂が海に運ばれ、岩盤に粘土が堆積してしまう事から海草の胞子が固着出来ず、変りに石灰藻と呼ばれる白い藻が岩盤を覆い尽くす現象です。 これにより一般海藻類が生育不能となることから、海草類を餌にしたり繁殖場とする魚介類が激減して、漁業に深刻なダメージを与えています。 この事態に憂慮した三陸沿岸の岩手県の漁師達を軸とした団体が毎年、山の山頂に上り植林活動を始めて9年になりますが、なんと、磯焼けが止まり、カキの生産量が向上したり魚場に海藻類が確実に増加してきて海産資源が蘇りつつあるということです。 海の資源を得る為に漁師が植林をすると言う話、インパクトがあり、印象に残っています。 実は、バクテリアの活動には鉄分が不可欠であり、海中にバクテリアが吸収しやすい鉄は微量しかなく、絶えず川から鉄が供給されないと、海は鉄不足の状態に陥ってしまうのです。 川を通じて海に鉄を供給してきたのは広葉樹の森でした。 広葉樹の落葉の堆積で自然発酵して出来る腐植土の中のフルボ酸と鉄が結びつき、バクテリアが吸収しやすいフルボ酸鉄となっているのです。 また、フルボ酸は石灰藻の繁殖を抑制する効果をもっていることも判明しています。 これらの広葉樹の落葉で発生する腐植土の影響は、川のバクテリアにも当然、不可欠なものなのです。 アジアアロワナの故郷のカプアス川も、アマゾンのネグロ川ほどではないにしろ茶褐色の、明らかに木の腐植質の影響で着色されている事から、雨季の増水時に腐植土が流されたり、水没した木の腐食等による「アク」の流出により影響を受けている事は容易に判断されます。 特に、紅龍の発色には、より自然に近づける為、ウッドチップやピート、流木の影響はあるものだと個人的な思い入れとして考えています。 既に、副会長宅で半年以上、色変化の現れなかった個体たちが、ウチに導入された、この2週間で明らかに、発色の変化を表しています。ミーちゃんやニイハオも、以前の水槽では色が出ていなかった個体なのです。 磁石の話では、実際に実施された方たちから多くのお礼の言葉を頂きましたが、本来は、大地で生きている生物は地磁気と言う磁力の影響を受けていますし、水だって影響されているのです。 人工的な水槽内を自然に近づける上で、磁力の影響を考えるのは当然です。 コーヒーブレイクの話も、上記の木のアクの話と関係が有るのかもしれませんし、より自然に近づける意味でウッドチップを使用しています。 また、バクテリアが有機物を分解するにあたり、炭素と窒素の栄養比率が重要とされていてC/N比、または炭素比とも呼ばれていますが、堆肥を作る際には畜糞や尿は窒素ばかりが高く、有機物分解時に大量のアンモニアが発生し、途中で発酵が停止するので炭素率の高いワラやバーク、モミガラと混合して堆肥を作るわけですが、炭素源はセルロースやリグニンも利用出来る事からウッドチップが有効とされているのです。 つまり、堆肥と同様、魚の糞や残餌では動物性タンパクが高く、窒素のみ高濃度になり、炭素源が不足する事から、バランスの良い分解が出来ないとの事から、私の場合、ろ材にウッドチップを使用しているのです。 硝化菌を育てられると言うデニボールのろ材も炭素源を補給出来るよう配慮している事からもウッドチップの有効性は御理解頂けることでしょう。 一般的な魚のろ過設備は、窒素比の高い有機物を、鉄分の利用が少なく、磯やけみたいな不自然な状態で管理しているわけで、次第に蓄積する生物分解できない残渣=ヘドロの定期的な間引きや、窒素分(硝酸塩)の間引き=換水と言うメンテナンスで対応している訳ですが、私は、ウッドチップの使用により、木のアクで発色への影響や、炭素源の供給により、より高度な有機物分解を狙っています。 もちろん、木の細胞構造は「導管」と呼ばれる水の通り道があるため、ろ材としてもバクテリアの住処としても利用が出来ます。 入手については、最寄のチップ加工場とか、探してみてください。広葉樹のチップは1000リットル当たり1000円程度から貰えますし、加工クズなら水槽に使用するくらいならタダで貰えます。 実験心の旺盛な方は、是非一度、取り組んでみてくださいね? 追記)私は経験上、テトラの水草水槽にウェットでもウッドチップを使用し10年くらいになりますが、今回、龍仙人さんから貴重な報告を頂きましたので、補足させて頂きます。 ウッドチップを、ダイレクトにドライ濾過として使用していると毛カビとか、さまざまなカビが発生してきますが、カビは毒性は弱いものの少なからず毒性を有するものがあり(カビ毒で検索してください)、仙人さん始め、エイの閉鎖系循環水槽での飼育では、カビの胞子を体内に取り込んで調子を直ぐしたり、死に至るとレポート頂きました。 アジアの場合、私は経験上、カビが存在しても問題ないものと考えていますが、魚が調子を崩している場合や、エイのようなデリケートな種を飼育する場合、ウッドチップを導入される場合、熱湯による煮沸等の熱処理で予め殺菌される事をお勧めします。 アク抜き工程を兼ねたものと考えれば良いでしょう。 通常、湯による殺菌は、65度30分程度で充分です。 ただし、加熱処理したからといって、カビの胞子は空気中に多数存在しますので、条件が合えば加熱後も2次汚染により発生します。 これはウールマット等にも同じことが言えますので、定期的なろ材のカビ付着のチェックを行ない、発見したら早めに熱湯処理される事をお勧めします。 2002,11,4 |
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