ハードなお話し
麻酔手術
今回、新たな混泳仲間になった、ブッキーの下鰭を麻酔によってカットしましたので、麻酔手術について、画像を交えて説明してみます。 但し、麻酔手術は魚の命に関わる手術である事を念頭に、あくまでも、私流の方法、1例として受け止めてください。
2002,4,29画像を追加しました。
左図のように、手術の段取りを良くする為、機材を揃えて置きます。 麻酔薬・FA100(武田製薬)、計量メスシリンダー(テトラ水質テストキットを流用)、希釈用容器(今回は3角フラスコ)、エルバージュ、挟み、ピンセット、手術用バット(今回は魚のサイズからパーティー寿司のトレーを流用) 計量容器はプラスチックの場合、変色する可能性が高い事を覚悟して使用します。

今回は、パッキングして連れて帰って即手術なので、事前に魚を導入する水槽の水で、2時間程度水合わせしました。 水合わせは、大型魚の移動方法のパッキングを参考にしてください。
麻酔薬の量は魚の活性や水温、サイズ等で使用量が異なりますが、大体の目安として、10センチ当り1ccを使用するものと覚えて下さい。 原液が魚に掛かると皮膚が炎症を起こすので、希釈容器にて10〜50倍程度に薄めておいて、ビニール袋に伝わられて投入します。 このとき、袋の中の水量は魚の高さ程度にします。 そして、水を袋の下から揉んで混ぜてやると、数分程度で魚が左図のように腹を上に向けたら麻酔が効いたと判断してください。
通常、ハサミは右利き用に出来ていますので、右手にハサミ、、左手にピンセットを持ちますので、頭は右に向けます。 画像では、判り難いですが、バットには魚が浸る程度の水を張っています。
薬が強かったかなと思ったら飼育水を、効きが弱いかなと思ったら袋の中の水を張ります。
人によっては、患部以外に乾燥防止で濡れタオルを被せる人もいます。 でも、今回の手術は短時間なので、私は、そのまま施術しました。
下ビレの根元部分が折れていたので、カットしています。 初めてカットされる方はアロワナの鰭や鰓が予想以上に硬いことに驚かれ、なかなか手術が進まず、軽いパニックになると思いますが(笑)落ち着いて深呼吸しながらカットします。
自信がなければ、ピンセット掛かりは別の人にして貰いましょう。 サバやハマチの鰭や鰓で予行練習も良いかもしれません。 この時点で魚がビタンビタンと跳ねるようでしたら、麻酔液に入れなおす必要も出てきます。
カット終了です。2つ上の画像と下鰭を比べてください。 この間の所要時間は、魚が引っくり返って3分くらいです。 カットした部分には念のためエルバージュ粉末を手に馴染ませて、傷口に擦り付けます。
ただし、絶対必要と言うわけでもありません。 お好みです。
手術が終わったら、素早くは麻酔から解かないと、魚はあの世行きになります。 
確実な方法としては、ポンプの水の出口に魚をセットして、口を開けて新鮮な溶存酸素を含んだ水を通して鰓を洗ってやる事です。
通常の場合、数分も鰓洗いすればフラフラながらも真っ直ぐに泳げるようになります。
しばらくして、混泳水槽の中で力強くブッキーは泳ぎ始めました。 早く良くなれよ〜♪
更に一連の手順の捕捉ですが、人間の手術と同様、魚も手術する最低まる1日は餌を抜いておきます。 場合によっては、餌を吐いたりしますので。

FA100は色はウイスキーみたいな色で、臭いは殆どクロロホルムと一緒の臭いですので、主成分もクロロホルムかも知れません。 したがって、冷血動物用と書いてはありますが、人間が誤飲した場合、大変な事になりそうですので、管理は厳重にお願いします。
この手の揮発性の薬品は成分が変質しやすいので、使用しないときは冷暗所に静置しておきます。 私の場合は、冷蔵庫に置いてますので、小さいお子様の居られる家では、特に注意が必要です。

また、そのような性質の薬品ですから、購入には印鑑も必要ですし、薬局へ行って、誰でも買えるものではありませんので、入手し難い場合は行きつけのショップへ相談してみましょう。

余談ですが、麻酔薬を扱えるようになったのは、つい最近の話で昔は、袋に入れたアロワナを氷水に漬けるか冬場であれば部屋において、3〜4時間掛かりで水温を20℃程度まで下げてアロワナの動きが鈍くなったところを手術していました。 当然、術後は、元の飼育水へいきなり戻せませんので、再び、その水の入った袋に戻して水槽の中に浮かべておいて温度差が少なくなってから元に戻してやる方法を採っていたそうです。

私も、今回はブッキーを麻酔手術して、いきなり混泳水槽へ入れたのと、最も小さなログキャビンスペシャルも同時に混泳水槽に入れたので、万一の喧嘩を考慮して、混泳水槽の水温を24℃へ下げておいて、2匹の新入りを入れたことを付記しておきます。
この過背金龍は、オーナーが体調を崩してしまい、1ヶ月程度メンテナンスが出来ないうちに両エラがメクレてしまったケース。 シャンレン産の1.5歳で、典型的な丸顔の過背金龍で、金の上がりも6列が始まった、最も変化が楽しめる時期である。 今回のケースは鰓ブタの柔かい部分が完全に反転してエラブタ側に巻いてしまっているため、短冊状に切れ目を入れる方法は通用しない為、全部カットする。
麻酔が効いたところ。 この個体は40センチであるが、過背金龍の20〜40センチくらいが最も、移動時にストレスで尾切れを起こしやすいので、私は麻酔無しでの手術は勧めません。 今回は人の魚と言うことも有り、麻酔は2ccと少なく(自分の魚なら4ccくらい行きます。)弱い麻酔で、直ぐに覚醒するよう考慮した。
過背金龍は水から出すと本当に綺麗ですよね? などと悠長な事を言わずサクサク手術しましょう(笑) 案の定、手術中もエラやクチがパクパクする軽い麻酔である為、途中で麻酔が解け始めて、麻酔液に漬け直しするハメに(苦笑)。 結局、暴れながらの両エラのカットであったため、全工程10分くらい掛かってしまった。 エラブタが黄色いのはエルバージュを塗らした綿棒に付けて、切断面に塗った為です。
麻酔が薄かったので、水槽に戻して2〜3分で通常の泳ぎに戻った。 今回は希釈した麻酔液が体表に掛かってしまった為、一部の鱗が白く変色してしまったが、一時的な肌荒れで、1〜2週間で元に戻る。 翌日、オーナーから餌もバクバク食べ始めたという事で、ホッとしました。 エメラルドグリーンに見える鱗が綺麗ですね。 すくすく大きくなれよ!!