
| ソフトなお話し | ||||
| ストライクを探せ | ||||
| 現在、私は、13匹のアジアを飼育していますが、これはショップのオーナーとも良く話するのですが、全ての魚を十分に発色させることが出来ないと言うことに気が付きました。 これはどういうことかというと、私の持っている魚は産地やファームがバラバラなのです。 例えば、アカちゃんの場合、昔、pH4近い硝酸塩、導電率も低い条件で飼育していたときはオヤバカですが、そこらの看板魚に負けないくらいの発色をしていましたが、現在のpH6.5の飼育環境では、当時に比べると色の赤さは今一つの状態です。pH以外の硬度や硝酸塩は変わらず、導電率は今のほうが少し高いくらいの条件なので、主な数値上の差はpHのみの差となります。 それに引き換え、ミーちゃんは、4付近の導電率と硝酸塩の高い水質で、7年半ショップで飼育されていたのですが、見事な黄色個体だったのですが、(それが良くて買ったのですが)、うちに来てから発色して、購入当時とは別物の魚に変化しました。ミーちゃんの場合、導電率は高いものの低pHで硝酸塩の高い条件と言うのは、本来、危険発色と呼ばれる一つの発色できる条件であったのに今は逆にpHは上がっているのに、むしろ現在のほうが遥かに発色していると言うことです。 (アカとミーの色変化は、写真集/私の写真集/アジアアロワナをご参考下さい。) で。何が言いたいかというと、個体によって発色する条件が違うと言うことを言いたいのです。 上の個体を説明しますと、アカはセムジャンファーム産でして、地図を見て頂ければお分かりのようにブキッド・セムジャンはカプアス川で言えば最上流付近の湖であり、紅龍の採れるエリアに近い場所です。 ミーちゃんはビンタンカルバー産ですので、生まれ育ちはカプアス川最下流のポンティアナで育ったことになります。カプアス川の最下流ともなれば、当然、上流域ほどピュアーな水質は維持できていません。 ここで水源の導電率について触れれば、紅龍の採れるエリアは導電率10μSですし、ジャカルタにあるディナミカの原水は40μS、ペテ・ムンジュールの原水は80μSと言われています。 日本の水道水は地方により違うのでしょうが、30〜200μS程度であり、飼育水の導電率は、それよりも当然高くなります。 まず、導電率をベースに考えていきますと、国内でも赤くなると定評の有るウルトラトップですが、これはムンジュールのトリス氏の選別眼により、池の中でも赤い種親をベースに選別して系統飼育した結果、今のF3がリリースされているわけですが、私が思うに、ペテムンジュールの魚は、アッパーリバーと言われる地域の水質よりも日本に近い水質下で育成されて選別を繰り返されて、日本に送られてきているわけなので、「赤くなる水質」が日本に近いから、結果を残してきているのではないかと思うわけです。 ※余談になりますが、ウルトラの名前が不動になったのは、当初トリス氏が幼魚期で出荷せず、ある程度のサイズになって「これなら大丈夫」と言えるサイズに仕上げてから日本に持ち込んでいたので、外れが少なく、商業名としてのステータスが出来あがってたのだと思います。最近では、幼魚も入荷するようになってきていますが、これはショップやファームで、どのタイプの幼魚が日本で発色してくるかを掴んだから、幼魚でも仕入れるようになったと聞いています。 もう少し判りやすく言えば、ランチュウでも、グッピーでもディスカスでも、飼育者が理想を追い求める結果、自分の好みのスタイルや色彩の子を選別で残して種親にし、それから採る子から、更に選別を繰り返して自分の理想の血統を作り上げるわけですが、アロワナの選別の場合、その基準となる「赤さ」は、そのファームの水質で赤くなる子を基準に選ぶわけですね。ですから、日本で赤くなる子と言うのは、当然、本来の野生紅龍の採れるエリアよりも日本の水質に近いようなファームで選別・血統を絞られた個体であるほうが、日本の水質に合い易く、楽に発色させることが出来ると考えています。 ミーちゃんも、ポンティアナの比較的街中に近い場所に有るファームのビンタンカルバーですので、より日本の水に合っていて今の私の飼育環境でも上手く発色しているのではないかと考えています。 もちろん、アッパーリバー産の個体を発色させるためにpHを下げて発色させたり、導電率をROを使用して元々生まれ育った水質に近づけることで、実現は可能かもしれませんが、それなりの努力が居るのでしょうね。 シンガポールの個体は、むしろ日本よりも導電率が高かったりするので、日本に親魚を連れてきたほうが現地よりも良い発色をしているようですね。あちらのファームでは、変な話、シンガポールで綺麗に発色する個体を選別・系統分けしていっても日本で発色しない可能性があるわけですが、シンガポールに限らず、ファームやショップも日本で発色するタイプの系統が、自分の池のどの種親がストライクかデータを取り、熱心に研究されているようですので、日本でも結果を出せているのでしょう。 乱暴な言い方をしますと、ファームで赤いからと言って日本で赤くなるかと言えば、必ずしもそうではなく、ファームでは赤くは無いが、日本の水では赤くなるタイプの子を作るファームが日本のマニアにとっては良いファームということになります。 ほんの一例を、導電率を中心とした話で纏めましたが、実際の発色のポイントにはpHや、硬度、硝酸塩濃度や、周囲の水槽環境(照明も含む)等、さまざまなポイントが絡むので、一口に「これが赤くなるポイントだ」とは片付けられないことは承知していますが、本章を通してお伝えしたいのは、自分の育ててる個体が、成魚になっても赤くないからと、諦めてしまわずに、赤くなる水質ポイントというか、パワーバンドを探し当てて、維持していけば、赤くなる可能性が十分にあるということを言いたいのです。 ショップで売られている下取り魚が、色が赤くない理由で安く売られていて、自分の水槽に導入して赤くなった経験を私も、ミーちゃん以外にも経験しています。もちろん、新水垂れ流しにより水質変動が無い点も好影響を与えているのでしょうが、やはり、私の水槽の水質が合っていた子は発色しているということです。 ファームで「これは赤くならない、グレード低い」と小さいサイズで既に選別落ちして安く売られたロットの子が、数年後に、そのロットの子の多くが赤くなっている事実を各地方を廻った中で目で見ていますので、冒険的な発言をしますと(笑)、低グレードの安価な魚の中にも当たりの子が居るかもしれません。ファームで合わない種親でも日本ではストライクな可能性が有るわけですから。 そう考えると、赤くないと思っていた子が水質条件を変化させることで、発色させることが出来る可能性が広がるわけですので、飼育していて楽しみが増えると思いませんか? 赤くする答えが判らないまでも、赤くする目標と可能性が広がることで、更にアジアアロワナを飼育する楽しみが広がると思います。これは、金龍にしても水質を研究することで濃い発色を探す楽しみは有ると思います。 ここ最近の幼魚は、輸入解禁直後とは比べ物にならないくらい全てにおいてグレードが上がっています。 比較的安価なロットの子でも、大外れが少なくて、そこそこ満足行ける結果を出せますので、冒険的な買い物も面白いかと思います。 ただ漠然と龍魚を飼育して「発色しないなあ」と思うよりも、いろいろと目標を定めて、その個体の発色のバンドをアレコレ探し当てる飼育法を続けることも、飼育熱を維持できる良い目標になるものと思います。 龍魚飼育は、やはり奥が深いですよね。 2003,3,16 |
||||