寄せ書き
タイの養殖場

皆さんこんにちはラフレシアの福井です。

きらりきらさんホームページ開設おめでとうございます。
記念すべき第一回目の「寄せ書き」を書かせて頂くことになり、大変光栄に思っています。 何を書こうか悩んだのですが、密かに温めているネタで行こうと思います。

日本でアジアアロワナが解禁になって、様々な事が有りました。
昔はアジアアロワナと言えば、ダーティーフィッシュと言うイメ−ジで、テレビはおろか熱帯魚雑誌にさえも「禁断の魚」扱いでした。
日本に正規輸入され、店頭でもその姿を見かけるようになり、ブ−ムに火が点きました。 今では現地での養殖体制が整い、輸入量が増え値段もずいぶん変わってきました。 数多くの方がアジアアロワナを入手しやすくなった事は嬉しい限りでしょう。

が、しかし値段が下がった分だけ、雑に扱われてしまう様になったのも残念ながら事実です。 そして多くのアクアリスト達の挑戦によって、水槽内での繁殖は不可能とされていた時代にも終止符が打たれました。

僕はプロとして、マニアとしてアジアアロワナに関わっています。 一日の半分以上の時間をアロワナと共に過ごせている事、それで毎日の生計を立てていられる事を深く感謝しています。これほどの幸せな時間を過ごせている事が夢のようにさえ思えます。 その感謝の気持ちを少しでも返そうと、色々なことにチャレンジしています。
それが出来る立場に置かせて頂いているのだから・・・・。

ご存じの方も多いかと思いますが、最近はタイへも出かけています。
ここ一年で9回行きました。タイと言えば真っ先に思い浮かぶのが、ダトニオでしょう。 しかし、僕はアロワナの仕事でタイに行っています。

今まで様々な事情から公には出来ませんでした。
その仕事とはアロワナの繁殖です。

僕のマニアとしての最後の夢が現地での養殖でした。 あの広大な土地に大きな池を掘り、両手でカエルをまいてみたかったのです。
ここ一年でタイと日本の多くの方から御協力をいただき池を掘りました。 まだ試作段階なので30m×8mのちいさな池ですが、僕にしてみれば海よりも広く感じています。 そして、今月やっと12匹のアロワナを日本から輸出する事が出来ました。

現地に着いたアロワナ達を無事に池に放すと、アロワナ達は水槽とは違う初めての池に臆することも無く、水面下に姿を消していきました。 スポットライトに照らされた水面に見えるアロワナの背中を見ているだけで、数時間の時が過ぎていきました。

周りには虫の鳴く声と草木の風を緩やかに受ける音しか聞こえませんでした。 水面に映る月が風でなびいていたのを鮮明に覚えています。 時折水しぶきを上げるアロワナ達、半年間ラフレシアでストックしていたので、愛着がある個体ばかりです。
背中を見ただけで、どの個体なのか容易に判別がつきます。
餌食いが悪い個体、気が強くて喧嘩ばかりしていた個体、病気になり死にかけた個体、底の方でいつもじっとしていた個体。
一匹一匹ヒレの傷さえも思い出されます。

生まれ故郷では有りませんが、彼らをこの地に戻せた事に誇りを持っています。 そして、多くの方のご協力があって出来た事だという事を、僕は一生忘れません。
今後この個体たちの子供が、どこかの国のアクアリストに大切に育てられる事を願っています。
アジアアロワナに夢を与えられ、その夢をまた誰かが引き継いでくれればこんなに嬉しい事は有りません。

初めてアジアアロワナを手にした時の感動をいつまでも忘れないで下さい。 この、ちいさな楽園に、皆さんと来る日が訪れる事を切に願っています。


ラフレシアはいつ咲くか解からない花の名前。
人知れず咲いて散り逝く花の名前。
小さなツボミは世界一の花になる事を夢見て
僕の胸に宿っています。

                         
ラフレシア  福井健人



台湾でアジアアロワナが解禁となる事が決まり、今後、我が国でも、いろいろな影響が出てくるのでしょうが、タイの業者への技術指導も含めて新たな世界へ一歩前進された福井さん。
このネタは福井さんのwebsiteでも、公になっていないレアネタでして、プラダパット等雑誌への執筆予定だったネタです。
いつか出来る事なら、その小さな楽園へ行ってみたいものです。

お忙しいところ、当サイトのため、書き下ろし頂き、感謝に堪えません。
今後のご発展を山陰龍魚会メンバー共々、お祈りします。

管理人・きらりきら