寄せ書き
インドネシアの紅尾金龍について
 
スマトラゴールデンの故郷とMAHATO GOLDEN
スマトラゴールデンは、スマトラ島のリアウという地域でとれます。付近の代表都市はプカンバルです。石油、紙、ツバメの巣などで発展している都市で、物価が高いことで有名です。MAHATO MANGKO、KOTABARUの3つがスマトラゴールデンの主な産地です。さらに細かく分けると7つの産地があるようです。

現在、野生のアロワナはとらないよう指導されていますが、現在でも、KOTABARU地域では、捕獲が行われているようであり、シルファデナには毎年平均約300匹の稚魚の売込みがあります。
シーズンは9月から10月のようで、数はかなり生息しているようです。
残念ながら、MAHATO、MANGKO地区では油田の開発が盛んに行われており、アロワナはほぼ絶滅してしまったようです。どの地区でも、アロワナ減少の大きな原因は、捕獲よりも、油田からの水質汚染や、森林伐採が原因のようです。

KOTABARU周辺のスマトラゴールデンは、4列目まで金が乗るいわゆる典型的な「紅尾金龍」であり、この地域の種親を確保したファームが多いため、古くから目にする機会が多かったと思われます。
MAHATOおよびMANGKOのスマトラゴールデンは平均で見るとKOTABARUとさほど変わりませんが、一部の地域で、まれに5列目、さらには背中まで巻いたものが存在しました。この地域のゴールデンは、油田開発のため、1990年にはほぼ取れなくなってしまいました。ここタイプの親は、リアウに古くからファームを持つ、スマトラゴールデン専門ファームの、シルファデナとワンブンが確保しています。
どちらも、地元の人間であり、いち早くMAHATO、MANGKOの両地区のゴールデンアロワナの特異性に気づいていたようです。

判り難いですが上の個体は金の上がった個体で、下の個体は並です。
フルサイズ画像は、こちらです。


スマトラゴールデンは、同じ地域の中でもさまざまなタイプが存在しているようです。
4列目までしか金が乗らなく、尾が半分赤いのは、KOTABARUの平均的な個体の特徴です。
MAHATOとMANGKOは5列目まで金が入る個体が多いです。
HAMATOは鱗底が青いものが多いです。MANGKOは金が濃いのが特徴です。

シルファデナのMAHATO GOLDEN
シルファデナの場合は、1980年後半にはスマトラゴールデンの種親をMAHATO、MANGKO産のみ100%にし、それ以降のスマトラゴールデンの種親の導入はしていません。美しい子供が取れそうな親を使ったほうが将来的に有利なので、親はすべてMAHATO及びMANGKOのものとしました。ワイルドのものはMAHATOよりもMANGKOのほうが金が濃くきれいでした(こちらのほうが金が6列まで巻いたときの受けはよさそうです。残念ながらまだこちらの産地からは6列目まで金の上がったものは出ていません)。金の上がりの良さと、青さはMAHATOのほうが目立ちました。また、MANGKO産のアロワナは数が少なく、親はMAHATO産の割合のほうが多くなっていきました。

スーパーレッドはポンティアナの業者が力を持っておりスーパーレッドは良い種親の確保が非常に困難でした。300面以上の池で世界一の生産量を誇るファームがブリードを行って10数年経った今でも、レッドでは、ヘンリーやディナミカ等のポンティアナのファームが生産するアロワナの質の平均値と比べると正直まだ遠く及びません。
マレーシアゴールデンに関しては、国は違いますが地理的に近く、スピードボートでの行き来が容易でしたので、種親の確保は以外にスムーズに行きました。シルファデナはリアウの業者であったため、特にスマトラゴールデンに関しては真っ先にいい親を手に入れることができたのです。
他地域の親を仕入れる場合、当然、悪いものから送られてきます。事業の失敗による資金不足、事業の変更などにより、危機に陥った場合に現金で買い上げる方法しか良い親を大量に仕入れることが難しいのです。

シルファのオーナー
アヌワル氏


MAHATO産のスマトラゴールデンを繁殖させているうちに、F2、F3ごろから、少数ですが、マレーシアゴールデンと見間違うような6列目まで金の上がっているスマトラゴールデンが誕生するようになりました。これははっきりいって偶然です。MAHATOとMANGKOを混ぜなかったのも、特別な理由があったためではなく、ただ、取れる時期が違い、大きさがあわなかったためや、リアウの地元人とし、産地にこだわっていたようです。なぜか (過背金龍とスマトラゴールデンのクロスはやっていました。これは失敗しました。)グッピーの遺伝を研究している専門家にこのことを話しましたら、「遺伝的には、スマトラゴールデンでも、マレーシアゴールデンでも、金の上がりを重視して選別していけば、到達までの時間は違っても、最終的には全身金色の方向に向かう」とのことでした。

昨年冬、紅金の買い付けに来たシンガポールの某シッパーがMAHATO産の池で泳いでいる6列目まで金の上がった親を見て、マレーシアゴールデンと勘違いしていました。
それを見て、シルファデナは、ここぞとばかりに気合の入った選別を行うこととしました。金の上がりのいい親を集めて池を作り、採れた子供をMAHATO GOLDEN(GOLDEN MAHATO)として、日本向けに出そうということになりました。何故日本向けかは、意外かもしれませんが、台湾や中国ではごく一部を除いて、とにかく安いアロワナを求める傾向があります。特に中国は、品質にはあまりこだわっていないのが現状です。ですから、良いものは日本に出しています。残りはまとめてシンガポール行きのようです。シンガポールからは中国や、台湾に行っているようです。

KOTABARUの紅金と決定的に違う血統でありリアウの業者としての有利な条件を100%生かしたMAHATO産の純血スマトラゴールデンが、シルファデナ自慢のスマトラゴールデンである、MAHATO GOLDENです。

採仔風景・中央男性が雄の口を開けている


余談ですが、(ここが重要?)シルファデナでは、元がスマトラゴールデンなので、紅尾金龍と同じ価格でリリースしています。今後はほとんどの個体が6列目まで金があがるようにがんばって選別交配を行っていく予定です。

2003,8,23
CV.MAJU AQUARIUM
日本営業 田島

今回も引き続き、CV.MAJUAQUARIUM 日本営業の田島さんに寄稿をお願いしました。
シルファが中心の説明ですが、これを読ませていただくことで、昔から居た紅尾金龍の表現型の特徴や、現在の自然下における紅尾金龍の様子を垣間見た気がします。
また、シルファディナが、紅尾金龍から過背金龍龍を作出していった背景なども判り、大変勉強になりました。貴重な情報と、現地の画像を提供頂きまして、心から感謝を申し上げます。

なによりも、嬉しいのは、金の上がりの良い、一般的に高背金龍として価格の付くロットが紅尾金龍の価格で購入できるのはマニアとして心強い限りです。 商売的に考えれば金の上がりが良い個体なら負荷価値を付けて値段を上げて販売してもよいようなものですが、このあたりが巨大ファームの懐の深さなのでしょうか?
どうか、ファームが、このような計らいをしてくれるわけですので、ショップ側で勝手な商業名などを付けたり負荷価値を上げて価格を吊り上げたりすること無く、当たり前に販売して頂きたいですよね。 一時的には、そのような売り方で利益も上がるでしょうが、このような事実が明るみに出ますと、ショップや牽いてはファームの信用を損なうことにも繋がりますし、長い目で販売して頂きたいものです。
でも、こうしてシルファの姿勢が明らかになった以上、今後、私達マニアはシルファに限って言えば『当り』の個体が普通の紅金価格で買えるようになると言うことでしょう。期待しています。

紅尾金龍は、過背金龍に比べて価格が安いせいか、ともすると過背金龍より格下に見られがちですが、このような高グレードの紅金がリリースされることで、紅金のイメージもアップして欲しいものです。

引き続きの原稿依頼で大変お疲れだったと思います。お陰で大変興味深く、楽しく読ませていただくことが出来ました。 本当に有難う御座いました。

管理人・きらりきら