アジアアロワナ勉強部屋
龍魚に最適なろ過装置とは
これから書くことは,あくまでもわたしの少ない経験の中で感じたことを主観で述べますし,曖昧な表現だと誤解を招くかと思いますので,あえて,数値を明記していますが,これは絶対値ではありませんので,これ以外の数値であっても全く問題ないことを御理解ください。
1.様々なろ過装置

龍魚を飼育するに当たり、水槽のサイズについては以前簡単ながら纏めましたが、今回は、ろ過装置について纏めます。

ろ過は龍魚飼育にとって、むしろ飼育設備の中では飼育水槽よりも重要かと思っています。
バクテリアに関する話は、ハードなお話にも触れていますので、ソチラも御覧頂くとして。

今回は、大雑把に分けて、外部フィルター、上部ろ過、オーバーフローについて纏めてみました。
2.外部フィルター

外部フィルターは左図のような、エーハイムなどに代表される密閉構造の濾過槽を指します。

元々、外部フィルターは、水草水槽などのCO2を添加して光合成を行なったりする際に、上部ろ過などでは酸素を取り込みやすいため、CO2が抜けやすいと効率が悪いのに対して、密閉構造であることからCO2が抜けにくく、水草レイアウトでは必須とも言えるろ過装置として普及していったものです。

メリットとしては
●濾過槽とポンプが一体構造でコンパクトである。
●作動音も静かで、消費電力も少なく経済的。
●既存のシステムに追加も簡単で、ろ過不足の緊急対策にも便利である。

などが挙げられます。

しかしながら、大型魚の飼育には下記のようなデメリットがあります。

●密閉構造であるため酸素を取り込みにくく、好気性バクテリアの活性を考えた場合、不利。
●本来は水草水槽では水草そのものの浄化能力と併用すれば、適度なろ過能力といえるが、大型魚のような水を汚しやすい魚種では価格の割にろ過容量が少ないといえる。
●左図のように構造的に下から水を入れて上から抜くようなフローになっているものが多いが、当然、生物負荷を考えると、下部分が最も負荷が高くなるため、下部分に生物フロックが出来上がり、目詰まりしやすいわけだが、構造的に下のろ材の目詰まりを解消するには全てのろ材を引き上げなくてはならず、上のろ材も水が抜けることで全洗いしなければならないので、目詰まりのたびにリセットとなる。
●セットで組まれているポンプは水量はある程度出るものが多いが、押し上げ揚程の小さいのが多いため、あまり高い位置まで送水できない。

注意点としては
●上図のように、下から荒目のろ材をセットし、上に行くほど細かいろ材を使用することでろ材の洗浄寿命を延ばすことが出来る。
●装置内のろ材を単一のもので揃えるのであれば、水槽内に粗ゴミをとるようなプレフィルター、ストレーナーなどを設けることで、外部フィルターのろ材の生物負荷を軽減できるのでお勧めです。
●とかく、装置内は酸欠に陥りやすいので、極力、飼育槽のエアレーションを施すことで、外部フィルター内のバクテリアを好気性環境にキープしてやることが必要。
●出口側の水はどうしても酸欠気味になるため、水面よりも上で放水し、水面の酸素を水流で巻き込むようにセットする。

用途としては
●稚魚〜幼魚用の60cm標準水槽や、60cmワイド水槽のメインろ過。
●90cm水槽以上の別のろ過装置のサブフィルターとして使用。
●メイン水槽のサブフィルターとして普段は稼動させておき、病魚や隔離の必要な魚が出たときに、隔離水槽を新規で立ち上げる際、十分にバクテリアが湧いているので、この外部フィルターを、そのまま隔離水槽のメインろ過として移設するなど、利用用途は広いです。

3.上部フィルター

上部ろ過は、各メーカーにより様々な形式のタイプが作られているが、多くの場合、下図のような、ろ過のスタイルを採り、その他2室か3室のろ過箱をセットしたのもある。
いずれにしても自然落下にてろ過するタイプであるので、大半は水は上から下に流れるので、上にウールマットなどの粗ゴミ採り=物理ろ過を施し、下側に本来の有機物分解用の生物ろ過材を用いるタイプであると言える。


構造的に、上のウールマット等の物理ろ過はゴミを除去するのが目的であるため、汚れたり目詰まりしたら頻繁に洗浄・交換してもよいが、下の槽の生物ろ材は殆ど洗う必要がない。
洗うとすれば、負荷が高く、ろ材がヘドロ目詰まりした時か、ヘドロが多すぎてろ材が保持できなくなり、飼育槽にヘドロが流れてきて水が白濁し始めたりするときに、飼育水でろ材をゆすぐ程度で十分である。
上図のオーバーフローの水位も実はメーカーの考えにより、いろいろであり、物理ろ過の効率を考えた場合、ウールマットが水没せずにある程度空気に露出しているくらいの方が、補足した固形分を水で溶かしたりしにくいため、私はオーバーフローの水位は自作で短くカットして生物ろ材のみ水没する程度に加工することもあります。
ろ材の厚み(高さ)は、大型のタイプでもせいぜい10-15cm程度の高さであるので、酸欠になりにくいので、ろ材の粒径は3-6mm程度のタイプを使用するほうが、容器内でのろ材の表面積を稼ぎやすいので、結果的にろ過効率が高いです。
もちろん、粒が小さくなるほど、目詰まりの頻度は早くなるので半年程度のスパンで洗浄が必要になるとは思いますが。
したがって、ろ材は安価な大磯砂でも十分なろ過性能を発揮できます。むしろ大型のリング型ろ材では空隙率が高すぎて、容器内での表面積が少ないため、目詰まりは少ないものの、ろ過性能は低くなるので、私は上部ろ過は、ある程度(最低15cm)の生物ろ材部分の高さのある上部ろ過じゃないとリングろ材はお勧めしません。

メリットとしては
●各水槽サイズにジャストフィットするように製作されているため、見た目もすっきりしている。
●特に120cmまでの対応機種は、量産されているため、価格的にリーズナブルでありお勧めです。
●構造的に、空気を取り込みやすいので大型魚飼育にもマッチしている。

デメリットとしては
●120cmタイプまでの付属の揚水ポンプは、連続運転で持って2年程度でキリキリと音がし始め、油をさしてもすぐにダメになるので買い替えが必要となるが、買い替え時には専用の揚水ポンプ単体では割高なので、寿命の長いレイシーなどのマグネットポンプを購入して配管しなおすことをお勧めします。
●セットの揚水ポンプや、レイシーの縦型タイプなどは、水を汲み上げるインペラーが水没していないと、本来の能力を発揮できないものが多く、龍魚のように水面で跳ねたりするため、水位を下げる必要がある魚の飼育に対して、水位があまり下げられないタイプが多いので、ポンプ単体で、水槽の下側にオフセットして設置するなどの工夫が必要である。
●ろ過能力=ろ材の量であることを考えると、ろ材が増えるほど上部ろ過の重量も増加していくため、あまり大型の上部ろ過を設置すると、飼育槽の板厚が薄いと、アクリル板に掛かる荷重の増大から、水槽の歪やクラックの原因となるため、飼育槽の上に設置するにも限界があることを忘れてはなりません。

注意点としては
●上手の△Dの距離は重要であり、ここがゼロ〜マイナスでは放水口が水没するため、十分に酸素が取り込めないので、極力△Dの距離を開けることで、酸素を取り込みやすく出来る。
●△Dが大きすぎると、落下音が大きくなったり、水流も大きくなることも有り、幼魚などでは水流が強すぎる場合、放水口の向きを水槽の裏側の板に水を当てるようにしたり、塩ビパイプなどで、シャワーパイプを作り、落下する水流の勢いを殺す工夫をしてみてください。
●ヘドロを掃除する場合、ヘタをすると汚れたヘドロを飼育槽に落としてしまい、エロモナスやポップアイや腹水病などを引き起こしますので、ヘドロを洗浄する場合は放水口にマッチするホースなどを取り付けて水槽の外にヘドロを含んだ汚水が流れるようにセットして、揚水ポンプを稼動させれば、飼育槽へヘドロが流れることはありません。
いずれにせよ、セットモノのタイプでも、使っているうちに不満は出るものですから、カスタマイズは不可欠でしょう。

用途としては
●稚魚〜成魚までの単独飼育なら、この1本でも大丈夫なことが多い。
●但し、魚のサイズに合わせて、水槽と上部ろ過装置はサイズアップしていかないと、水質の悪化スピードが速くなり、頻繁な水換えを要することになりかねない。
●ある程度の匹数であれば、上部ろ過に外部フィルターを並列で増設してやることでキープ可能である。

4.良いオーバーフローろ過

オーバーフローろ過装置のオーバーフローとは、本来は飼育水から水が濾過槽にどんどん流れていき、押し出されて溢れていく様からオーバーフローと言われていますが、飼育槽とは別の水槽をセットして、その水槽内に加工を施したものですが、良いオーバーフローの例を左図に示しました。

一般的に三層式といわれているものですが、厳密に言うと、生物ろ材の充填部分が3箇所あるものの、実際には左図のような生物ろ材と生物ろ材の重点部分の間に整流用のエリアが設けてあり、生物ろ材の重点部分には、何れの層にも「水が上から下に流れる」ようにフローが作ってあるものが最も良いものと考えます。
このように上から下に水が流れると言うことは、生物負荷の観点から考えれば必ず、ヘドロやゴミはろ材の上部分に溜まる訳で、スノコの下に逆専用のエアレーションを施しておけば、ヘドロは下から上に巻き上がるので掃除が簡単に済みます。

また、濾過槽とは別に飼育槽からの水を一度ウールマットを充填したドライボックスなどを通過させると、ゴミや排泄物などの固形分もドライろ過部分で除去されるため、生物ろ材のヘドロの溜まる期間を大幅に延長でき、メンテナンスが楽になります。

この三層式の場合、水が落ちてくる一層目が最も溶存酸素が高く、二層目三層目に行くほど、溶存酸素はバクテリアに消費されて不足していきますので、すべての層のバクテリアを活性化させるためには、各ろ材の充填室の間にある整流部分の仕切り内にエアレーションをしてやることで、解決できますし、水流もつきますので、水の流れもよりスムーズに出来ます。

5.注意を要するオーバーフローろ過
まず左図を見てください。
結構、昔の三艘式ーバーフローは、こういう水の流れのタイプが多かったのです。

確かに、限られた濾過槽内を有効に仕切りを入れていくと、左図のような構造になるのですが、注意点が数箇所指摘されます。

●まず、飼育槽の水が落ちてくる一層目がウールマットを充填してあるケースですが、ここに大量の排泄物や固形分が流れますと、ウールマットそのものが目が細かいため、目詰まりにより水槽から溢れる危険性が高い点。
しいて言うなら、このような目の細かいろ材はファイナルの微塵を補足するような目的で、または手前で有機物分解されて生物負荷が軽くなった層で用いるべきであり、一番最初に目の細かいろ材を使用するとメリットよりもデメリットのほうが大きいと言えます。

また、ウールマットで補足された排泄物や残餌などの固形分は水没させておくと、長時間を掛けて溶解していき、溶けた有機物がそのまま次の生物槽の負荷に変化してしまうので、本来は、やはり固形分はドライろ過により水切りして補足して、マメに回収・除去する方が、ろ過槽のメンテを軽減すると言う意味では有効だと考えられます。

●次に、上図のように単純に仕切りで三層に分けてしまうと、2層目の水の流れは下から上に流れていくことになりますよね?
すると二層目の下部分のろ材の色を濃くしていますが、この部分が負荷が高いことから、ヘドロが蓄積されるわけですが下のヘドロを掃除するには二層目の全てを掘り起こさないと目詰まりが解消できないので、作業が大事になりますよね?
●またバクテリアの活性化の意味でエアレーションさせる場合、上図の×印をつけたようなスノコの下等に散気管をセットした場合、エアレーションにより、二層目の下に溜まりやすいヘドロを上に攪拌することになるため、いつまでもろ材にバクテリアが活着しにくく、水の透明度が得られにくいと言えます。
●影響のない位置でのエアレーションは上図のような生物ろ材の上部分でのエアレーションならば、ろ材を掻き乱すこともないので良いのですが、これですと三層目は酸素補給されますが2層目は酸素補給が困難なのです。

オーバーフローの場合、水のフローを良く考えて設計する必要があります。

6.全面底面式オーバーフロー
これは常日頃、私が提唱しているオーバーフローのパターンであり、この方式を提唱した当時は、ショップさんや水槽メーカーでも、抵抗を受けました(笑)が、最近では導入されている方も増えてきて、この方式の理解者も増えてきたように思います。

この方式の最大のメリットは、購入した水槽にスノコさえしけば簡単に製作が出来、仕切りも要らないので水槽の実用量の最大限をろ材のスペースとして使用できる点にあります。

●私は、この方式の場合、必ずセットとしてお勧めするのはろ過槽の上にウールボックスなどのドライろ過を設置して、固形分を極力除去することと、スノコにエアリフトパイプを設置することを提唱しています。
●全面底面式ではろ材の量がとにかく多いのと上から下への水の流れは面全体で起きるため、水流が緩やかで、それだけ丁寧な生物ろ過が望める反面、下のほうのろ材は酸欠となり嫌気分解の恐れがあるため、20-50cm平方に1本程度のVP13Aの塩ビパイプを立ち上げて、ブロワーにてパイプ内でエアレーションを起こすことで、エアレーションによる酸素補給と、リフトパイプが水を吸い上げることで、ろ材の中の水の流速が上がり、酸素を取り込みやすくして嫌気エリアを解消できることから、不可欠だと考えています。

●青→のフローのようにろ過槽の横に穴あけしてポンプアップにて飼育槽へ水をリターンさせる方法も良いですが、赤→のフローのようにリフトパイプからポンプへ配管を施し、飼育槽へリターンさせる方法でしたら、基本的に水槽へは穴あけ加工が不要ですので、60cm〜120cmのガラス水槽も無加工で使用することも可能です。

オーバーフロー水槽のメリット
●ろ過容量が大きいため、混泳飼育にも対応できる。
●水質の安定度や処理水の清浄さは他のろ過方式よりも当然良い。

デメリット
●既製品は殆どないため、自分で自作するか、ショップや水槽メーカーに発注することになり、費用が嵩むことと、自作の場合、ある程度の加工技術を要する。
●多くの場合、飼育槽の下に設置するので、床の強度によっては設置できないケースも出て来る。

適正なサイズとしては
設計や飼育匹数にもよるが、大体の目安ですが
床面積=飼育水槽の床面積の40-100%の床面積にろ材充填が可能なように設計する。
水槽の高さは=飼育水槽の高さの20-60%程度の高さ分、ろ材充填が可能なように設計する。
ろ材の上にろ材の高さに対して20-50%程度の水のエリアがあるように設計する。

また、ろ材の高さにより、使用するろ材の粒径を考えないと、目詰まりしやすくなったり、ろ過不足を引き起こすため、前述の項目や、その他ハードなお話などを参考にしてください。

エアレーションの量は飼育槽と濾過槽は1:1程度のエアレーションを行なうくらいの考えで居た方が良い結果が出ます。
7.大型上部ろ過槽
これは発想を全く変えて製作するものです。

例えば、上部ろ過を使用していて、ろ過不足を感じたときに、同型式の上部ろ過を購入して、ツイン設置、トリプル設置していくのが、特別なDIYも不要ですし簡単なのですが、飼育槽に直接設置すると、飼育槽のアクリル板への荷重が相当なものとなり飼育槽の破損の原因になるわけですが、左図のように飼育槽よりも一回り大きな架台を作成し、飼育槽を跨ぐような形の架台の上に上部ろ過を設置すれば、増設も簡単で、かつ飼育槽への負担はなくなります。

エイやポリプのような底モノを見て楽しむには、むしろ飼育槽を床にベタ置きにして、このように濾過槽を上に持ってきたほうが良いように思えます。

また、上図のようにオーバーフロー用の濾過槽を架台の上に設置する方法もアリだと思います。

飼育水槽が大きく、その大きな飼育水槽を支えるための架台となると、相当頑丈で高価な架台となりますが、飼育槽よりも小さな濾過槽を載せるための架台であれば、飼育槽を載せるよりも細い部材で製作出来、コストも安価に仕上げられます。

架台や上に置くろ過槽の床面積によっては、課題の高さを上げておき、飼育槽内のメンテができるようにスペースを確保しておく必要があります。

2007,1,28